銅クラッドアルミ材による銅線盗難防止対策

銅クラッドアルミ材

銅の価格高騰を背景に太陽光発電所、建設現場、通信基地局、鉄道施設などで銅線の盗難が急増しています。稼働停止による収入減、修復にかかる多額のコスト。防犯カメラ、センサーライト、頑強なフェンスの設置、地中埋設などの対策が考えられますが、広い敷地への対策にも多額のコストがかかります。

盗難防止の一つの方法として有効なのが銅線を銅クラッドアルミ線に変える方法です。銅とアルミのクラッド材は、融点が異なる金属の接合材のため単純に溶解して再利用することはできません。融点の異なる銅とアルミを完全に分離できるような特別な設備が必要になります。万が一盗難にあった際にも、銅クラッドアルミ線は、銅線に比べ長さ当たりの価格が安いため、修復コストを抑えることも可能になります。次の章で銅とアルミのクラッドワイヤーに関して説明します。

銅クラッドアルミ(CCA)ワイヤー

CCAワイヤーは、銅とアルミの間に原子間の堅固な拡散結合が形成されたクラッド材です。形状も角型のものから線状のもの、銅とアルミの構成も上の図のように要求ベースで自由に設定可能です。

銅クラッドアルミ材による銅線盗難防止対策

銅とアルミの導電率

同じ断面積の導体で導電率を比較した場合、銅の導電率を100とするとアルミは約60です。

Φ1.0mmの銅線に流れる電流をアルミ線に流そうとする場合、アルミの断面積を1.66倍にする必要があります。したがってΦ1.0mmの銅線に対しΦ1.3mmのアルミ線が必要になります。重量は銅線の約半分です。このことは密度当たりの導電率は銅線よりアルミ線が約2倍優れていることを意味します。

この様な理由から軽量化にアルミ線を使用することは理にかなっています。しかし、アルミ線は銅線に比べ強度が弱く、電気接続の信頼性も劣ります。銅をクラッドすることでそれらの弱点を補う事が可能です。

CCAワイヤーの利点

  1. コスト削減:導体の重量とサイズが同じ場合、CCAワイヤーは銅線の2.5~3倍の長さです。つまり、1トンの銅材から2.5~3トンのCCAワイヤーを製造できるため、原材料のコストを削減できます。
  2. 盗難リスクの抑制:CCAワイヤーは銅とアルミからできており、簡単に分離できません。材料盗難のリスクを効果的に抑制できます。さらに樹脂コーティングされたCCAワイヤーはより盗難抑制効果が期待できます。
  3. 加工性:CCAワイヤーは銅ワイヤーよりも加工性が優れています。
  4. 作業の効率化:CCAワイヤーは軽量で、輸送や設置工事が簡単なため、人件費を大幅に削減できます。
  5. 銅の需要抑制:CCAワイヤーには大きな社会的メリットがあり、銅材料資源を大幅に節約できます。
  6. はんだ付け性の向上: アルミははんだが乗りにくいという欠点がありますが、表面が銅であるため、はんだ付けが可能です。
  7. 耐食性の向上: アルミは酸素と結合しやすく、腐食しやすい性質があります。銅の被膜が外部環境からアルミを保護し、耐食性と寿命を向上させます。
  8. 導電性の向上: 表皮効果(高周波では電流が導体の表面に集中する現象)により、裸のアルミ線よりも電気伝導率が向上します。
  9. 接合部分の腐食防止: 銅とアルミを直接接続すると、電蝕(異なる金属が電気化学反応を起こして腐食する現象)が起きやすいです。銅クラッド線は、この直接的な接触を避けることで、接合部の信頼性を高めます。

CCAワイヤーと他の導体との特性の比較

CCAワイヤーは、銅の導電性とアルミの軽量さを両立しており、同じ重量で銅線の2倍以上の長さを確保できるため、コスト削減と軽量化できる点が特徴です。また、純アルミ線では困難なはんだ付けが可能であるなど加工性にも優れており、電気的特性と施工のしやすさをバランス良く備えた導体です。

特性導体
CCAワイヤー銅線アルミ線
銅の体積比率(%)1015201000
密度(g/cm3 )3.303.633.948.892.70
同じ重量での長さ比2.72.452.2513.29
導電率(% iACS)65687010062
直流抵抗(Ω.mm2/m)0.026200.025200.024300.017240.02740
引張強度(Mpa)95-120105-135115-145215-26568-107
伸び(%)1515152010
巻きやすさ
はんだ性×

CCAと銅材のコスト比較

クラッドの工程が入るので、kg当たりの価格は銅線に比べてCCAワイヤーの方が高くなります。

しかしCCAワイヤーはアルミを含む分比重が小さくなるため、重量当たりの取れ高はCCAワイヤーの方が多くなります。

銅線Φ0.2mmと同等の導体抵抗のCCAワイヤー(銅の体積比率は10%)Φ0.25mmでコストを比較した例を見てみましょう。1kgから取れる線長は銅100%の場合3.58km、CCAワイヤーの場合6.18kmです。CCAワイヤーを500kgの購入価格で比較した場合、約37%のコスト削減が可能となりました。

*参照LME価格、銅USD 12.97/kg, アルミ USD 3.08/kgの場合

まとめ

ここまで、銅価格の高騰に伴う深刻な盗難被害への有効な対策として、銅クラッドアルミ(CCA)ワイヤーの優位性をご紹介いたしました。単なるコストダウンの手段にとどまらず、「物理的に分離・転売が困難」という特性による盗難抑制効果や、軽量化による施工コストの削減など、CCA材は現代のインフラ設備が抱える課題に対して多角的なソリューションを提供します。

バイメタルジャパンでは、標準的なCCAワイヤーだけでなく、お客様の要求仕様に合わせた銅の比率や形状(丸線・平角線・条材)をオーダーメイドでご提案し、設計段階からの課題解決をお手伝いしています。100社を超える導入実績と、国内外のトップメーカーとの強固なネットワークにより、お客様のニーズに最適な接合・導体ソリューションを幅広く提供してまいりました。

銅線の盗難防止対策、あるいは導体の軽量化やコスト削減についてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

>>お問い合わせはこちら
>>メールでのお問合せ先:customer-service@bimetal.co.jp